お勧めマッサージ

お勧めマッサージ

マッサージ怖い

恐怖のマッサージ

 某郊外区の某賓館でお勧めマッサージを受けたことがある。この賓館には隣接するサウナの設備があり、以前行った時は従業員の活気ある雰囲気で、気持ちの良いところであった。

 その後数年して行ったところ、経営者が変わったらしく何か以前の活気は見られなかったが、 サウナ好きの僕にとって歩き疲れた体に熱いサウナは不可欠であり、この宿泊ホテルに隣接するサウナに行くことを喜んでいた。

 前回、ここでまあまあの、まじめなマッサージを受けたこともあり、サウナに入り終えた後にマッサージに行くことを楽しみにしていたのである。

 この賓館から繁華街へ行くにはかなり歩くことになり、タクシーを用いざるを得ないのであるが、新たにマッサージ、とりわけ盲人マッサージを探す元気は無くなっていた。
 
 そんなに熱くもないサウナから出て部屋で休憩していると、二十歳にもならないようなマッサージ嬢が来て、まず「これをやったら?」と言ってきた。どうやら耳の掃除らしい。僕はやったことがなかったので「OK。」と言った。するとマッサージ嬢は部屋の外に出、僕はしばらく部屋で待っていた。

 約5分後、白衣を着たおじさんとそのマッサージ嬢が一緒に入ってきた。耳掃除のおじさんは、なにやら道具箱を持ってきて、更に耳鼻科の先生がやっているように額に反射鏡を付け、持ってきた卓上電気スタンドを点けると共に、道具箱からピンセットを取り出し、僕の耳に向 かって差し込もうとした。

 その時、ピンセットの鋭い先で鼓膜が破られるかもしれんと、突然恐怖心が沸いてきたのである。それに白衣が汚れていて腕の方も心配だ。僕は怖くなって「止めてくれ!」と声を上げた。おじさんはしょうがないな、と言うような顔をして、道具箱を片づけ始めた。マッサージ嬢はというと、「何で?」、というような顔をして苦笑していた。


 で中止してもらい、やれやれと思っていたところ、マッサージ嬢は何やらメニューを持ち出し、「どれにする?」、と聞いてきた。メニ ューを見ると、泰式マッサージ、韓式マッサージとか香港式マッサージとか、いろいろあってどんな内容かよく分からない。

 で、マッサージ嬢にそれぞれの内容を説明してもらったが、くどくど言って要領を得ない。いいかげんに嫌気をさした僕は、彼女が「これが良いよ。」、というお勧めマッサージなるものをそのまま、「うんそれにして。」、と言ってお願いしたのである。
 
 「うつぶせになって!」、と言われたので、言われるままうつぶせになったら、突然浴衣のパンツを引き下ろされた。唐突に手荒なことをするもんだな、と思いきや、肛門の周りにクリームらしきものを塗り、ヌルヌルと軽くマッサージし始めた。

 肛門の周りも意外と気持ちが良いもんだ、と初めてのドキドキ感に僕は半ば酔いしれていたのである。と、マッサージ嬢はマッサージを中断して近くに何かを取りに行った後、僕の肛門当たりに何かをしだした。

 僕は気になって、「何をしているの?」と聞くと、マッサージ嬢は綿棒を見せ、「これをお尻に入れてマッサージするの。気持ち良いよ。」と、あどけない顔でさらりと言った。

 ぼくは驚いて、「それは止めてくれ!」と大声で言いながら飛び起きたのである。あの山本晋也監督さえも怖いと言っていた、前立腺マッサージではないか。

 な、なんと中国、こんな郊外区のホテルでも有るのか、と驚くと共にあきれ果て、「こんなマッサージがあるなんて、皆に言いふらすぞ。」と言うと、泣き出しそうな顔で「それは止めて下さい。」と、言い出した。

 で、僕は激高するのも大人気ないと平静になり、「普通のマッサージにしてくれ。」と言い、やっぱり普通のが良いと、ホッと安心していたのである。危ないところだった、ちょっと気を抜くと油断も隙もありゃしないと、僕はいい加減な態度でマッサージをお願いしたことに後悔をしていた。

 後になって思うのであるが、話の種としてそのマッサージが何式か確かめずに帰ったのは、本当に惜しいことであった。「何何式は怖いマッサージだよ。」と、偉そうに教えることもできたのに。

 自分自身はショックが大きかったのか、それとももうこの様なヘマはしないか、はたまた今後あり得ないと思っていたのであろうか、あとで聞くのを忘れていたのである。

 


 このホテルにチェックインしたその日の夕方、僕はロビーのカウンターで「この地区の地図はないの?」、とカウンターのテーブルに両腕をおき、中を覗き込むように服務員に尋ねていたが、ふと「高橋です。」と、言うのが聞こえてきた。

 チェックイン時の第一声に、堂々と自分の名を日本語で言うのも珍しいと、僕はその30才ぐらいのスーツで決めた人物を横目で見ていた。ホテルの従業員も日本語が分かるらしく、無言でキーと書類を素早く出していた。ここの郊外区には日系企業が多いらしく、必然このホテルも日本人客が多いらしかった。

 僕は思い切ってその人物に「出張ですか?」、と尋ねた。「ええ、トラブルがあって。」、更に僕は「長いですか?」と尋ねた。その人は「1週間の予定です。」と、はきはき答えた。企業の名は忘れてしまったが、良く聞く電子技術系の会社で、技術担当であると言っていた。

 僕も会社人として、トラブル状況での人の動きがある程度予想できるので、「ご苦労さんです。」と、思わず言ってしまった。

 こういう日本人客が多いところとあの前立腺マッサージは何か関連有りそうだと、僕は妙に思い始めていた。二十歳にもならないマッサージ嬢のオススメとは、ひょっとして日本人客のリクエストが多いというのがあったのでは、とも思う。

 1日の終わりは疲れもあり気分が緩み、つい相手の言いなりになり、先が読めなくなってしまう。心を引き締めないといけない。
 
 
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